AI ツール検証
Notion AI を1ヶ月使い倒したレビュー — 議事録要約・PJ管理・タスク抽出のリアル評価
Notion AI を中規模プロジェクト(チーム8名・3ヶ月案件)で1ヶ月運用検証。議事録要約・タスク自動抽出・PJ管理の実用性を、現役プロジェクトマネージャーが本音レビュー。ChatGPT Team との使い分けまで解説します。
「Notion AI ってどう?入れる価値ある?」と聞かれて、いつも返答に困ります。
理由は単純で、使い方を間違えるとただの月額料金が増えるだけだから。逆に、Notion をすでに業務の中心に据えている人にとっては、AI 機能が入ったことで価値が一段跳ねるツールでもあります。
この記事では、私が直近で動かしている中規模プロジェクト(チーム8名・3ヶ月案件)で Notion AI を1ヶ月使い倒した結果を、機能ごとにフラットに評価します。「導入価値があるかどうか」を、自分の業務に置き換えて判断できるようにまとめます。
Notion AI とは
ざっくり整理すると以下です。
- 月額 $10/ユーザー(Notion 本体プランに追加課金、Free プランでも追加可能)
- ページ内で「要約」「翻訳」「続きを書く」「タスク抽出」「FAQ生成」がワンクリック
- Q&A(全ワークスペース横断検索)— Notion 内の情報を AI に質問できる
- 裏側のモデルは GPT-4 系 + Anthropic Claude(時期により変動)
- 入力データは学習に使われない
最大の特徴は ワークスペース全体に対する Q&A です。これは ChatGPT には絶対にできない芸当(ChatGPT は自社情報を持っていない)。
① 議事録要約 — 想像の3倍便利だった
検証中、一番使われた機能がこれ。
私のチームは Notion で議事録を取る運用なので、会議が終わったらページの先頭で「要約」をクリックするだけで以下が出力されます。
- 5行サマリ
- 決定事項
- ToDo(担当者付き)
- 次回までの宿題
精度は 80点くらい。完璧ではないけど、手作業で議事録から ToDo を抜き出す手間が消えるだけで価値があります。
詰まった点
- 議事録が長すぎる(1万字超)と、要約が浅くなる傾向あり
- 担当者の特定がやや弱い(「○○さん」と書いてあれば取れるが、「私が」だと取り損ねる)
- 業界用語の意味解釈は ChatGPT より弱い感触
ここを補完するため、私は会議中の文字起こし自体は Meeting Lens を使い、議事録ページに貼り付けてから Notion AI で要約するハイブリッド運用にしています。リアルタイム文字起こしは専用ツール、整形は Notion AI、という棲み分け。
② タスク抽出 — Asana / Jira から乗り換え検討に値する
議事録ページから ToDo を抽出した後、そのまま Notion のデータベースにタスク化できるのが地味に強力です。
議事録ページ
→ 「タスク抽出」ボタン
→ Notion AI が ToDo を構造化
→ 「タスクDBに追加」で1クリック挿入
これ、Asana や Jira で同じことやろうとすると、
議事録(Notion or Google Docs)
→ 手動でコピペ or Zapier で連携
→ タスク管理ツールで担当者割り当て
→ ステータス管理
と最低3アクション必要だったのが、Notion 内で完結します。
ただし、Notion をすでに「単なるドキュメントツール」として使っている会社だと、タスク管理の文化を Notion 側に移行するコストが発生します。ここは導入前に整理しておくべきポイント。
③ Q&A(ワークスペース横断検索)— 評価が分かれる機能
「過去の議事録から、X社向けの提案で出た価格交渉の前例を探して」というクエリを Notion AI に投げると、全ワークスペースを横断して検索 → 該当箇所を提示 → 要約してくれます。
これは ChatGPT には絶対できない、**「自社固有情報を扱える AI」**としての強みが際立つ機能。
良かった点
- 「3年前の議事録を探す」みたいな使い方が圧倒的に楽
- 検索結果がページ単位 + 該当箇所の引用で出るので、根拠が辿りやすい
- 部署を跨いだナレッジ共有が促進される(他部署の事例にアクセスしやすい)
詰まった点
- ワークスペースの情報整理が雑だと精度が落ちる(ガベッジイン・ガベッジアウト)
- 古い情報・アーカイブ済みのページも普通に引っかかる(時系列フィルタが甘い)
- 権限管理を誤ってると、見せちゃダメな情報が AI 経由で出てしまう可能性
これ、Notion を使い込んでいる会社ほど効く機能です。逆に「Notion 入れたばかり」「整理されていないページが大量」な状態だと、AI も困惑します。
④ 文章生成 — 過度な期待は禁物
「続きを書く」「ブログ記事を書く」みたいな汎用的な文章生成は、ChatGPT Plus / Team の方が品質高いです。Notion AI は速度重視のモデル(Claude Haiku 級)を使っている時間帯があり、生成品質に波があります。
「議事録から提案書のたたき台を作る」みたいな既存情報の構造化は得意ですが、ゼロから創造的な文章を書くのは ChatGPT の方が強い、という棲み分けが現状の結論。
⑤ コスト試算 — 単独 vs ChatGPT Team との比較
| プラン | 月額 / ユーザー | 主な強み |
|---|---|---|
| Notion AI | $10 | ワークスペース横断 Q&A、議事録要約 |
| ChatGPT Team | $25 | 共有 GPTs、汎用文章生成、コード生成、画像生成 |
| 両方 | $35 | 自社情報 + 汎用 AI を両立 |
20名規模で考えると:
- Notion AI のみ → $200/月
- ChatGPT Team のみ → $500/月
- 両方 → $700/月
「自社情報の活用度」と「汎用 AI 利用度」のバランスで判断します。私の主観だと、Notion を業務の中心に据えている会社なら Notion AI 単独 → 必要に応じて ChatGPT Team を後追いが現実的。逆に Notion をあまり使っていない会社が Notion AI を入れても、宝の持ち腐れになる可能性が高いです。
⑥ 議事録運用のリアルな例
私のチームでの運用フローを置いておきます。
1. 会議中 → Meeting Lens でリアルタイム文字起こし
2. 会議終了直後 → 文字起こしを Notion 議事録ページに貼り付け
3. ページ先頭で「要約」をクリック → Notion AI が ToDo を抽出
4. 「タスクDB に追加」で各 ToDo がプロジェクトDB に挿入
5. 担当者にメンション → Slack 連携で通知
ここまでで会議終了から 約3分。手動で議事録整形 → タスク化していた頃と比べて 30分→3分 の短縮。
ポイントは 専用ツールと Notion AI を組み合わせることで、それぞれの弱点を補完する設計にすること。
⑦ 向いている会社・向いていない会社
向いている
- すでに Notion を業務の中心に据えている(議事録・PJ管理・ナレッジ共有)
- ワークスペースがそこそこ整理されている(2年以上運用していて構造化されている)
- ChatGPT も併用したい(汎用 AI と自社情報 AI の使い分け)
向いていない
- Notion を「ただのドキュメントツール」として使っている(議事録だけ・タスク管理は別ツール)
- ワークスペースが散らかっている / 権限設計が雑
- 文章生成・コード生成が主用途 → ChatGPT の方が良い
- 5名以下で、Notion 自体の活用度が低い → 単に月額料金が増えるだけ
⑧ 導入の現場ノウハウ
導入前に整理すべき点を3つ。
- 権限設計を見直す — Q&A で AI が情報を引っ張る前提で、機密情報のページを「Workspace owners only」に絞る。
- アーカイブ運用を決める — 古い議事録を AI に拾われないように、半年以上前のページは「Archive」DB に移す運用を組む。
- 議事録テンプレートを統一する — 要約精度が上がる(「決定事項」「ToDo」のヘッダを必ず置くなど)。
⑨ 競合サービスとの比較
Notion AI と同じ役割を担うサービスをざっくり比較します。
| サービス | 月額 | 強み | 弱み |
|---|---|---|---|
| Notion AI | $10 | ワークスペース横断 Q&A、議事録要約、タスク抽出 | Notion 依存度が高い、文章生成は ChatGPT 比で劣る |
| ChatGPT Team の共有 GPTs | $25 | 汎用文章生成・コード生成、共有 GPTs | 自社情報を都度アップロード必要、共同編集機能弱い |
| Coda AI | $10〜 | スプレッドシート的活用、自動化が強力 | 国内導入事例が少ない、日本語UIの完成度に難あり |
| Microsoft 365 Copilot | $30 | Office 全製品連携(Word/Excel/Teams) | M365 サブスクが前提、Notion 系の柔軟性とは別物 |
| Slack AI | $10/ユーザー | Slack スレッドの要約・検索が強力 | 対象が Slack 内のみ、ドキュメント横断ではない |
結論: Notion AI は「Notion を中心とした業務ハブ」を持っている会社にとって最強。Office 中心なら Copilot、コミュニケーション中心なら Slack AI、ドキュメント書き起こしや議事録整形まで含めて広く使いたいなら ChatGPT Team との併用、という棲み分けが現状の最適解です。
⑩ 実際に効果を感じたユースケース 5選
検証した3社で「これは Notion AI 入れて良かった」と評価された具体例。
① 営業案件のヒアリング履歴を横断検索
過去2年分の商談議事録を Notion 議事録 DB に保存している会社で、新規案件のヒアリング前に「過去に同業界の商談で話題になった懸念点」を AI で抽出。提案書の初稿に反映できるようになった。
② 退職者の暗黙知を引き継ぐ
退職予定者が残していった大量のメモ・議事録・プロジェクト記録を Notion にアーカイブ。後任者が「○○さんはこの問題をどう判断していた?」と AI に質問することで、暗黙知の引き継ぎがスムーズに。
③ クライアントへのレポート自動生成
月次レポート作成時、案件ページに散らばった更新情報・成果データ・課題ログから「クライアント向けサマリー」を AI に下書きさせる。所要時間 2時間 → 30分。
④ 採用候補者の評価会議の議事録要約
複数の面接官が書き散らした評価メモから、応募者ごとに「強み・懸念点・推薦理由」を AI が再構成。採用会議の意思決定スピードが上がった。
⑤ 法務・契約書のチェック観点抽出
過去の法務レビュー記録から、契約書チェック時の「典型的な指摘ポイント10選」を抽出して、新規契約書のセルフチェックリストに変換。法務部門のレビュー件数が削減。
⑪ Notion AI を効果的に使うための運用 Tips
A. ページ命名ルールを最初に決める
AI 検索の精度はタイトルの一貫性に強く依存します。「2026-Q2 商談議事録 / X社 / 田中部長」のような構造化されたタイトル規則を全社で統一すると、Q&A の精度が体感で20%上がります。
B. 議事録テンプレに「結論」「次アクション」を必須セクションで
AI 要約の出力品質は、入力テキストの構造に強く依存します。「結論」「次アクション」「未解決の論点」のヘッダがあるだけで、要約のヌケが激減します。
C. アーカイブ運用は四半期ごと
古い議事録が Q&A に紛れ込むのを防ぐため、四半期ごとに「Archive 2024-Q4」のような DB に移す運用を組む。Notion AI の検索インデックスから外せます。
D. AI 機能を使えない人をフォロー
導入後の利用率は最初の1ヶ月で決まります。「AI ボタンを押すきっかけ」を全社員に作るため、月初に「今月の AI 活用テンプレ」を共有する運用が刺さります。
⑫ よくある質問(Q&A)
Q1. ChatGPT Team があれば Notion AI は不要?
A. 用途が違います。ChatGPT Team は汎用文章生成、Notion AI は自社情報の Q&A・要約・タスク化。両方使える予算があれば併用、片方だけなら「自社情報の活用度」で判断してください。
Q2. 既存の Notion ワークスペースに後から導入できる?
A. はい、ワークスペース管理者が「アップグレード」から1クリックで有効化可能。既存ページに対する Q&A も即時利用できます。ただしアーカイブされたページもインデックス対象になるので、運用整理は事前推奨。
Q3. 入力データは学習に使われる?
A. 使われません。Notion AI は OpenAI / Anthropic と契約しており、Notion 経由のデータが学習に使われない設計です。エンタープライズプランではさらに厳格な保証あり。
Q4. 日本語の精度は?
A. 一般的な文章なら高精度です。ただし業界用語・固有名詞の解釈は ChatGPT 比で弱め。事前に「議事録テンプレ」で文脈を整えると精度が上がります。
Q5. 解約したらデータはどうなる?
A. Notion 本体のデータはそのまま残ります。AI 機能だけが無効化されます。データロックインの心配は低いです。
まとめ — Notion 中核派には強くおすすめ、それ以外は様子見
Notion AI は、Notion を業務の中心に据えている会社にとっては費用対効果が圧倒的に良いツールです。月額$10で議事録要約・タスク抽出・横断 Q&A が手に入る。
一方で、Notion を「補助的に使っているツール」として位置付けている会社にとっては、$10 を払う価値はそこまで高くありません。汎用 AI が必要なら ChatGPT Team の方が広く使える。
私の結論は、Notion 5年以上使っている会社なら即導入、Notion 1年未満の会社はまず Notion 自体の活用を深めてからです。
会議中のリアルタイム補助は別途専用ツールを併用する前提で、「会議中の補助 + 会議後の整形」を分担する設計が現状ベストプラクティスかと思います。
執筆者プロフィール
中島 一馬
事業会社で社内DXのプロジェクトマネージャーを務めながら、複業で複数のスタートアップに業務改善コンサルとして関わる。Notion 歴5年・PMBOK 保有。「ツールを入れて満足する DX」に対して常に疑問を投げかけるスタンスで、現場目線のツール検証を書いている。
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